ついにきた7月4日
毎朝、通勤電車の窓から建設中の国立競技場が見える。
この通勤路になってから毎日眺めているけれど、作業が進んでいるのかいないのか傍目にはわからない。
だんだん変わって気づいたら全く違うものになるという脳トレのテストみたいに、気づいたら建設が終わっていてびっくりするんだろう。
2020も未来の話だけれど、意外とあっという間にその日を迎えるのかもしれない。
チャットモンチーの武道館公演も、気がつけば今日だった。
彼女たちの最後の武道館ライブであり、ラストワンマン。
東京での最後のライブを武道館で行い、本当の最後を地元で迎えるのは、久美子が辞める時と同じでなんだか感慨深い。
このライブが発表されたときは7月なんて遠い未来だと思っていたけれど、あれよあれよと時は過ぎ、向き合わざるを得なくなった。
先日発売されたラストアルバム「誕生」。
変身に変身を重ね、打ち込みでつくられた本作はもはや初期とは別物だ。
けれど鳴っている音はチャットモンチー以外のなにものでもない。
ビートルズがビートルズというジャンルを生み出したように、チャットモンチーはチャットモンチーというジャンルを編み出してしまったのだと思う。
人数が変わっても、パートが変わっても、使用する楽器が変わっても、変わらないものは変わらない。
確固たる芯があるからこそ、いくら変わっても変わることがない。
チャットモンチーのラストアルバムがこうなるだなんて誰も(きっと本人たちでさえも)予想できなかったけれど、これ以上にないとても相応しい最後に思えた。
アルバムの試聴会で溢れた涙。
先日のアルバムの誕生会ライブで溢れた涙。
アルバムを再生するたびに溢れる涙。
この涙の理由がわたしにはわからない。
悲しいのか、嬉しいのか、内に抑えられない好きが溢れているのか、まだ完結を受け入れられていないのか。
今日という日をどういう気持ちで迎えるべきなのか、ずっと考えてきたけれど答えは出なかった。
これだけ考えてもわからないのだから、観終わって感じたことが全てなのだと思う。
どんなライブになるのかわからないけれど、きっとまたあたらしく変身した姿を見せてくれるんだろう。
泣いても笑っても、数時間後には始まる。
後悔がないように、全ての瞬間を見届けたい。