チャットモンチーのこと
わたしはチャットモンチーというバンドがとても好きです。
中学2年生、兄の部屋から漏れていたとび魚のバタフライを聴いてチャットモンチーというバンドがいることを知りました。
へんてこな歌詞のはめ方なのにキャッチーで、かわいいのにカッコ良くて、知れば知るほどわからなくて、気付けばすっかり虜でした。
間も無くチャットモンチーが初めて表紙を飾ったロッキングオンジャパンは、隅から隅まで読みました。
紙面から彼女たちのただならぬ覚悟と決意を感じて、バンドって人生を変えてしまうんだなあなんて思いました。
夢中で音源を聴いていたら、どうしても生で観てみたくなって、春休み最終日には友達を誘って群馬からはるばる武道館に行きました。
わたしにとっても、友達にとっても、チャットモンチーにとっても初めての武道館でした。
2階席、ステージは遠かったけどそんなの気にならなくて、憧れの人たちが自分と同じ空間で大好きな曲を演奏しているという事実だけで胸がいっぱいでした。
それからお小遣いで少しずつCDを買い揃えて、頭がおかしくなるくらい何度も何度も、何度でも再生ボタンを押しました。いくら聴いても飽きませんでした。
中学3年生、彼女たちのように演奏してみたくなって友達とバンドを結成しました。教則本を読みながら、兄のギターをひたすらに鳴らしました。
バンドで一番最初にコピーしたのはハナノユメだったけど、初心者のわたしにはどうにもこうにも難しくて、何度も練習しました。
それからわたしのバンドは、半分チャットモンチーのコピーバンドのような感じで文化祭に出たりライブハウスに出たり、小さなコンテストにも出たりしました。
その間もチャットモンチーはカッコいい曲をたくさんリリースしてくれて、新曲が発表される度にどきどきして好きになって、自分の中で大切な曲となっていきました。
高校3年生、自分のバンドの活動を休止して勉学に励みました。
チャットモンチーを聴いてるとそれだけで元気が出たし、真面目に音楽に取り組む姿に感化されて、わたしも頑張れました。
だからこそ、塾の自習室で、久美子が脱退するニュースを見た時には、なかなかその事実を受け止られませんでした。
3人の黄金バランスで成り立っている音楽だ思っていたから、久美子がいなくなったらチャットモンチーではなくなると思ったし、どうなってしまうのか全く想像できませんでした。
ただその不安は、見事に良い意味で裏切られました。まさか、ベースがドラムに転向、そして2人組のバンドになるなんて、誰も想像出来なかった姿でした。
普通のバンドではまずありえないけれど、この奇想天外さこそがチャットモンチーの核だということをこのとき教えられた気がします。
チャットモンチーが好きだと言うと、3人の時の方が良かったなんて声も多かったけれど、わたしはむしろどんどん変身して新しい音を鳴らしてくれるチャットモンチーにひたすらときめいていました。
今回のチャットモンチー完結の発表は、それはもうびっくりしたし動揺したしめちゃくちゃ泣いたし嘘じゃないのかと何度もHPを確認したりしました。嘘じゃありませんでした。
ただそれ以上に挨拶文があまりにチャットモンチーらしくって、やめないでだの寂しいだの、野暮なことを言う気にはなれませんでした。
今年のツアーを振り返ってみても、挑戦的な音がとてつもなくカッコ良くて、これからの進化が楽しみだなと思っていたから、2人の変身の過程の一つとしてこういう選択もアリなんだろうな、と発表から数日経った今は思います。
わたしは大学1年生から自分のことをナナモンチーと表現していますが、この名の通りチャットモンチーはもはやわたしの自我の一部です。
これでもかというほど影響を受けたし、へこんだり、迷ったり、不安になったりしたとききにはいつもチャットモンチーの音楽が背中を押してくれました。
中学生からOLになり、趣味嗜好も大きく変わったのに、チャットモンチーはずっとカッコ良く、憧れの存在で居続けてくれて、そのことにわたしは本当に救われました。
チャットモンチーの他に、こんなにもファンでいることが誇らしいバンドはいません。
チャットモンチーと出会い、恋に落ち、共に人生を歩んでこれたこと、本当に幸せに思います。
ここまで思い入れのあるバンドは他にいないから、やっぱり完結してしまうという事実にまだ心は追いついていないけれど、2018年の7月、チャットモンチーのおしまいをわたしなりの愛を持ってきちんと見届けようと思います。
チャットモンチー、大好きだ!